病因シリーズ①『風邪(ふうじゃ)』
(筆者:高橋 裕子)
病気の原因を中医学では病因と呼びます。
病因の中で、自然現象(風、寒、暑、湿、燥、熱)によるものを六淫(ろくいん)と呼びます。
六淫:風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、熱邪(火邪)
1回目は「風邪」について解説します。
《風邪(ふうじゃ)の特徴》
① 変化が敏速(風邪による病気は進展が早く、変化しやすい)
例えば感冒にかかると、寒気があり何時間も経たないうちに発熱、鼻水、のどの症状が出たりと症状が素早く変化します。
② 遊走性、移動性がある(病変部位が変化する)
具体的には、痛みの部位が移動する、遊走性の痛み、かゆみが移動するなども風邪によるものです。
③ 上半身、皮膚をおかす(風邪は性質が軽いため、頭部、顔面部などの上半身、あるいは表面部の皮膚に症状があらわれやすい)
具体的には、うなじや背中の寒気、頭痛、めまい、皮膚症状のかゆみや発疹なども風邪によるものです。
④ 動揺する(動きをともなう症状が多い)
ぐるぐる回る感じのめまい、けいれん、ふるえなどの症状があらわれます。
⑤ 他の邪気を先導する(風邪は単独で人体に侵入することは少なく、ほかの六淫をともない侵入することが多い)
《風邪の病証》
① 風邪が表にあるときの症状:
寒気(温めると寛解する)、発熱、発汗、頭痛、鼻水、鼻づまり、喉のかゆみ、軽い咳など。
② 風邪が皮膚に停滞したときの症状:
発疹、皮膚のかゆみ、発疹あるいはかゆみの場所が急に発生し、一定しない、よく移動・増減するなど
③ 風邪が経絡に停滞したときの症状:
走行性の痛み、しびれ、ひきつれ、こわばりなど