執筆者: 柳父憲子
最近は妊活されている方が増えています。昔は妊活をしなくても赤ちゃんを出産される方が多かったのですが、現在は晩婚の方が増えたため妊娠しやすい年齢を過ぎてから結婚・妊娠をする方が増えた為です。
『妊活とは』
この妊活とは、自分の体質を知り、体が妊娠しやすいように生活習慣を改善し、病院での不妊治療や漢方薬などでの妊娠しやすいように体質改善をする事です。
『卵子の年齢はご自分の年と一緒』
40代でも場合によってはまれに50代でも妊娠される方はいらっしゃいます。“妊娠したい”にも書きましたが、女性は生まれた時から卵(原子卵胞)を持っており、数も決まっています(男性の精子の場合は80日くらいで作られます。)。
年齢が上がるにつれて卵も年を取り数も減っていきますので20代の卵の方が30代、40代よりも元気で妊娠しやすいのです。
『40代の方でも妊娠される方とそうでない方の違いは?』
漢方で考えると主に親から生まれた時にもらった“腎精(じんせい)”の強さ(簡単中医学講座の腎参照)が妊娠を左右すると考えますが、他にもストレスや食生活、生活の不摂生、子宮内膜症・子宮筋腫・性病などの病気、などいろいろな原因があります。又昔に比べて環境ホルモンの影響を受けている方も多いです。環境ホルモンとは体内にもともとあるホルモンではなくそれに類似の物です。似ているのでもともとのホルモンと置き換わってしまい自分のホルモンが上手く働かなくなります。
又35歳を過ぎると月経は順調でも排卵をしていない無排卵性月経が増えてきます。排卵をしていないと妊娠は出来ません。
『漢方でどのように妊娠力を上げるの?』
妊娠力を上げるためにはまず女性ホルモンが重要で、特に重要なエストロゲン、プロゲステロンという2つのホルモンがあります。プロゲステロンは妊娠を維持するホルモンで排卵していないと出てきません。
これらのホルモンを助ける漢方は主に“腎精を補う”ものになります。この腎精には腎 陰と腎陽があります。腎陰を補うものはスッポン・亀の甲羅・地黄などがあり、腎陽を補うものは鹿茸・海馬(たつのおとしご)・冬虫夏草・イカリソウなどがあります。
又、脳からもホルモンは出ています。これは脳からエストロゲンやプロゲステロンが出るようにコントロールしているホルモンです。こちらはストレスによって上手く働かなくなることがあります。ずっと赤ちゃんが欲しいと考えその事にばかり集中してしまうと脳下垂体からのホルモンの分泌が悪くなりエストロゲンやプロゲステロンの働きも悪くなります。それが排卵しない原因や月経の乱れにつながることもあります。
そのような方は少し脳をリラックスさせる柴胡や薄荷などを使います。
妊娠力を上げるためにはホルモンだけでなく子宮や卵巣の状態を整える事も大事になってきます。この子宮の状態を改善するために漢方では“当帰”を良く使います。この当帰は血流を改善し血液を補う事により子宮内膜を軟らかいフワフワの状態にしてくれます。つまりこの当帰の働きにより受精卵がより育ちやすい子宮となります。
漢方薬は病院で出されるホルモン剤や排卵誘発剤の副作用を軽減する為にもよく使われ、一緒に併用できます。又、妊活のためだけではなく体のバランスを整えるのにも使うので長期にわたって飲めます。
『基礎体温は測った方がいいの?』
基礎体温は今どういう状態なのかわかる指標なので測る方が良いですが、あまりにも妊娠の事から頭が離れなくなる方は基礎体温を2~3周期計ったらその後は時々もしくはお休みしても大丈夫です。妊娠に集中するより楽しい事に集中される方が妊娠しやすいのでストレスになっているようでしたらつけない方が良いです。
妊活をお考えの方はあせらずに自分の体質を知り、食事や生活リズム等を見直してみてはいかがでしょうか? レジャーを楽しんでみたり、美味しい物を食べる、気の置けない友達とお出かけをする。心のリフレッシュも大切です。漢方で妊活をとお考えの方はお気軽にお問い合わせ下さいませ。