『髪のトラブル』

(筆者:柳父 憲子)

 髪が抜けやすい。ぱさつき乾燥する。枝毛が出来やすい。白髪が増える。普段からこのような症状が気になる女性は多いかと思いますが、秋には特に増えるようです。あなたの髪の毛は大丈夫ですか??

 
 やっと涼しくなってきましたが、この時期は夏の疲れがでてきます。人によって出てくる症状は様々ですが、 髪の毛のトラブル(抜け毛、薄毛、パサツキ、髪の1本1本が細くなる、切れやすい、白髪が増えるなどです。)もでてきやすくなります。

『髪は血余(けつよ)』といい中医学では 血の余りと考えられています。 女性は月経でほぼ毎月血液をだしていますので、血液が不足がちになります。 そうすると、血は髪の毛や爪に栄養や酸素を運べなくなり髪の毛のトラブルが増えてきます。
中医薬では これらの症状を抑えていく薬と、膀胱炎になりにくくする体質改善のものがあります。
また、『腎の華は髪にある』といい、生命エネルギーの源である ”精(簡単中医学講座 「精」を参照)” が充実していれば、精は血を生じるので、丈夫な髪が育つと考えられています。

  

 

ここでいう腎とは、一般の腎臓のことではなく腎臓を含めた、泌尿生殖器系やステロイドや生殖のホルモン系(副腎や脳下垂体の内分泌系) 免疫監視機能などを含めた働きのことで、老化によりこの腎精が不足すると、耳鳴り、聴力減退、排尿異常、生殖能力の低下、白髪、脱毛などなどの症状が発生しやすくなります。 
                          

この時期に髪の毛のトラブルが増えるのは、 特に今年の夏は暑かったので、冷たいものを飲む方がかなり増えました。 冷たいもの(飲み物だけでなく、食べ物も生野菜や刺身など)を多く取ると胃腸が冷え、働きが悪くなります。働きが悪くなると、栄養の吸収が悪くなり、血液が作られ難くなります。また、夏の時期は食欲が落ちる方も多いため、栄養自体少なくなります。 
  

このように、胃腸も弱く、頭皮や髪が乾燥し、髪にハリや艶がないものの抜け毛が多く、白髪のタイプは “気血不足(きけつぶそく)” 胃腸を強くし、血液を作る 人参・黄耆(オウギ)・当帰・阿膠(あきょう)・芍薬・竜眼肉(りゅうがんにく) などを使います。

食養生としては 穀類、きのこ類、いも、豆類など胃の消化機能や新陳代謝を高めます。 又、ほうれん草、小松菜、牡蠣、レバー、プルーンなど血液をつくり、内臓に栄養を補給します。 

                          

加齢や遺伝によって髪が衰える、ボリュームが少なくなる、白髪の慢性化などは ”腎虚(じんきょ)”といい、腎を補うもの 何首烏(かしゅう)・食用蟻・地黄・黄精・山薬・プラセンタ・旱蓮草(かんれんそう)などです。 

特に何首烏は ”何(か)”という名前の体の弱い人が、毎日飲んでいたら、元気になり、年をとっても髪が黒々していたので、何首烏(首は頭、 烏は黒いという意味)と名付けられました。 

食養生としては 黒豆、黒ゴマ、くるみ、ナッツ類や山芋などが腎を補います。 特に黒い食べ物も腎にいいとされています。 

夏のダメージ回復にも秋・冬にしっかり補って行きましょう。