『更年期障害』

(筆者:柳父 憲子)


 のぼせ、ほてり、不安感、めまい、動悸、血圧の過変動、不眠、多汗、耳鳴り、月経不順・・・ホルモンバランスの乱れにより症状が出てくる【更年期症状】年齢が若くてもなる場合があります。

 
更年期障害(Menopause)とは卵巣の機能が低下し“エストロゲン”という女性ホルモンが減少するため、ホルモンバランスが崩れて起こる症状で、閉経前後(月経がある方でも、順調には月経が来ない方や、閉経して数年たってから症状が出る方もいらっしゃいます)に症状が出やすくなります。閉経は50歳前後の方が多いのですが、ダイエットのしすぎや、過度のストレスで若くても月経が来ない方は 同じような症状が出てきます。

 
その症状は、自律神経失調症のような症状、ホットフラッシュや不安感、イライラ、抑鬱、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸、多汗、頭痛、不眠・・・など人により様々な症状がでます。 もちろん全然出ない方もいらっしゃいますが、症状のひどい方は仕事や家事など日常の生活に支障をきたす方もいらっしゃいます。

 
中国医学では症状に合わせて使うものが異なってきます。

“婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)”・・・”当帰”という生薬が約70%はいっています。

この当帰は中国では『女性の宝』 とされ、血のめぐりを良くし、体を温め体力をつけます。頭痛・肩こり・貧血・めまい・のぼせ・耳鳴りなどの症状にもつかいます。
  女性は毎月 月経でたくさんの血を出しているので、血虚(けっきょ)になりやすくなります。その血虚に使うのが補血薬(ほけつやく)である婦宝当帰膠です。

“イスクラ逍遥丸(しょうようがん)”・・・おもに、精神不安などの神経症状、不眠症 月経不順に使います。

これらの症状は中医学では気滞(きたい)といい気のめぐりをよくする逍遥丸には理気薬(りきやく)が入っています。ちなみに”逍遥”とは元々、『気のおもむくままに歩いて楽しむ』という意味があり、今でいえば『リラックスする』 ということです。
 

“ビタエックス”・・・豚由来の胎盤製剤(プラセンタ)で西洋医学でも良く処方されますが、胎盤は乳腺や子宮、卵巣の発育を促進します。中国医学では“紫河車(しかしゃ)”という人の胎盤を使用していました。これは滋養強壮効果もあるので疲れやすい方に使います。現在は人の胎盤は使えないので、豚の胎盤を使用しています。

 

“天王補心丹(てんのうほしんたん)”・・・不眠・不安感・肩こり・息切れ・動悸・口渇・便秘などの症状に使用します。 

【心(しん)は神を主る(心は神に通ず)】 とされ “心”は『精神』の中枢ですべての生命活動は “心”により統率されていると考えられています。この “心”が病変を生じると 動悸・不眠・健忘・胸苦しさや精神状態の乱れが現れてきます。
 この天王補心丹には “心”と “腎”に入る生薬がほとんどです。精神不安定はこの ”心””腎”をメインに使う場合と”肝”をメインに使う“逍遥丸”のようなものがあります。

 

“杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)”・・・顔・手足のほてり・のぼせ・めまい・疲れ目・むくみなどに使います。 

これには“腎”を整える生薬と“抗菊花(こうきくか)”“枸杞子(くこし)”という特に目の症状に使える生薬の組合せで出来ています。
中国医学で”腎” は腎臓だけではなく副腎・生殖器・脳下垂体などのホルモン系や骨・歯などのカルシウム代謝、自律神経系、免疫などを含みます。この”腎”は年齢とともに働きが弱くなっていきます。そのためホルモンバランスの乱れや泌尿器・生殖器の衰えが見られるときにはこの”腎”を整える補腎薬(ほじんやく)”“を使用します。


ビタエックス・天王補心丹・杞菊地黄丸 は 全て “補腎薬”で  ”腎虚(じんきょ)”と呼ばれる加齢や疲労などにより ”腎”の力が不足した状態に使用します。【更年期障害】かな??とお悩みの方、もしくは 症状が出るのが不安な方はご相談下さい。