新型コロナウィルスの影響で、パソコンやスマホを見る時間が増えたことで、目の疲れや近視など目の不調を訴える方が増えています。
10代の子どもたちを中心に増えている「急性内斜視」も、スマホなどを長時間、近い距離で見ているのが原因と言われています。眼球を内側に寄せる内直筋が縮んだまま、寄り目が戻らなくなり、物が2重に見え、遠近感や立体感がつかみにくくなります。
最近は、スマホなどのディスプレイ機器により、目や心に影響の出る病気をVDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群又はIT眼症と呼んでいます。最初は目だけの症状でも、頭痛、肩こり、吐き気、だるさ、手指のしびれ、さらには睡眠障害、イライラ、不安感、抑うつなど様々な症状に発展することもあり、早めの対策が必要です。
なるべく利用する時間を短くするよう工夫するとともに、以下を心がけましょう。
①距離を離す、文字や画面を大きくし輝度を下げる、プロジェクターを利用する
②意識的にまばたきを増やす
③1時間ごとに10~15分の休憩をとり、遠く(2m以上先)を見るようにする。
時々体を動かして緊張をほぐす
④目の周りのツボを刺激する、温める
特に15歳以下の子どもの眼は成長過程で、見る環境が発達に大きく影響します。正常な目の発達は、健やかな知的・精神的、身体的発達にも大切です。また、電磁波の影響は年齢が低いほど高く、体への影響も危惧されます。「記憶力や集中力といった知能がスマホのせいで低下している」、「IT企業トップは子どもにスマホを与えない」とも言われています(『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)より)。
外遊びは、緊張をゆるめるとともに、遠くを見る時間や光に当たる時間が長くなるため、心の発達や近視の予防に重要です。2時間以上外で活動する子どもは、近視の進行が起こりにくいというデータも報告されています。
漢方では、目は「肝」と密接なつながりがあり、目の様々な症状は「肝」を補うことで対応します。「肝」は自律神経にも関係しているため、ストレスなどの症状の対応にも有効です。目の働きを保つためには、血によって運ばれる十分な栄養も必要で、血が不足している場合は、血を増やすことも大切です。また、「腎」は「肝」の働きをサポートするとともに、血の生成にも関わっているため、「肝」を補う場合、「腎」を補うことも大切です。
漢方薬では、「杞菊地黄丸」は「肝」「腎」を補い、目の疲れなど様々な目の症状に使用します。その他必要に応じて、血を補う、胃腸機能を高める、自律神経系を整えるなどの漢方薬を使います。
しばらく、この自粛生活は続きそうです。目の不調に、目薬だけに頼るのではなく、体の中から対策してみませんか?