『肺』
(筆者:生出 拓郎)
“五臓”シリーズ第4弾の今回は『肺』です。肺は現代医学と同じく、呼吸機能としての働きと、皮膚や鼻の生理機能を維持する働きがある臓腑です。
肺は気を主る(はいはきをつかさどる)
→ 呼吸により、体に必要な清気(酸素)を吸い込み、不要となった濁気(二酸化炭素)を吐き出します。
このガス交換で得られた清気をもとに、宋気を生成したり、全身の気を調節したりしています。この働きが失調すると、呼吸のバランスがくずれ、息切れなどの症状が現れます。
肺は宣発・粛降を主り、水道を通調する(はいはせんぱつ・しゅくこうをつかさどり、すいどうをつうちょうする)
→ 宣発とは、脾から送られてきた水穀精微と、呼吸で得た気を、全身に送る働きの事です。この働きが正常であれば、皮膚はみずみずしく、外邪の侵入を防げますが、この機能が失調した場合は、肌の乾燥、抵抗力の低下など、様々な症状が現れます。
粛降とは、呼吸で得られた清気を、腎に送り込み、不要となった水液を膀胱に降ろす働きの事です。この機能が失調すると、息切れ、疲労、むくみなどの症状が現れます。
水道とは、水液の代謝経路を指します。不要な水液を、汗や尿で排泄する過程を、通調と言います。
肺は皮毛を主り、鼻に開竅する(はいはひもうをつかさどり、はなにかいきょうする)
→ 皮毛は皮膚、汗腺、うぶ毛などの体の表面部を指します。この皮毛を衛気が調節・維持します。風邪をひき易い、皮膚の乾燥、かゆみなどの症状は、この働きが失調した状態です。
また鼻は、呼吸に関係し、肺の働きが落ちると、鼻水、鼻づまりの症状がでます。