病因シリーズ④『火邪(熱邪)』
火邪と熱邪は同じ性質を持ちますが、程度に違いがあり、火邪>熱邪となります。
また寒邪、湿邪が長く体内にとどまると、火邪、熱邪に変化することがあります。
では火邪、熱邪の特徴をご紹介しましょう。
《火邪(熱邪)の特徴・病証》
① 熱感がある
熱邪の最大の特徴は熱性です。発熱、熱っぽい、ほてり、冷たいものを欲しがる、顔が赤い、尿が濃く黄色っぽいなどの症状を表します。
冷やすと症状が緩和し、熱を加えたり暑い日に症状が悪化するといった特徴があります。
② 炎上性がある
炎はメラメラと燃え盛る火のことです。熱邪も炎のように上にのぼる性質があります。
具体的には、上半身特に顔面部の熱症状をあらわしやすく、たとえば、のぼせ、目が赤い、口が渇く、舌が紅い(舌質紅)、口の中に潰瘍ができる、頭が割れるように痛い、搏動性の頭痛といった症状は熱邪によるものと考えます。
③ 神明をおかす
熱邪はよく精神、意識に障害を与えることがあります。
具体的には、イライラして落ち着かない、興奮して眠れないなどの症状をあらわします。甚だしい時は言語不明瞭となり、狂乱、意識不明などが見られます。
④ 開泄(発散)する
熱邪が体をおかすと汗孔が開き、汗が大量に漏れることがあります。
⑤ 気、津液を消耗する
熱邪が侵入すると必要以上の汗を体外に出します。そのため、津液が消耗され、皮膚が乾燥します。喉が渇くなどの症状もあらわれます。
また、汗とともに気も体外に出るため、気が不足し、疲れやすい、だるいなどの症状があらわれます。
⑥ 発疹、出血しやすい
熱邪が血に侵入することがあり、これを血熱といいます。血熱の特徴的な症状は、発疹と出血です。
発疹は赤みやかゆみが強く、入浴などで熱を帯びると、さらに悪化する傾向があります。また、血熱では血の流れがはやまり、出血しやすくなります。具体的には脈拍が早くなると同時に鼻血、不正出血、皮下出血などの出血症状があらわれて、出血の色は鮮紅色です。
⑦ けいれんする
熱邪が極まると、内風を生じ、動きを伴う症状があらわれます。これを熱極生風といいます。
具体的には、突然の全身の硬直、全身のけいれん、筋のけいれん、筋のひきつれなどの症状があらわれます。
《熱邪の病証》
① 熱邪が表に侵入した時の症状…
発熱、汗がでる、頭痛、喉が赤い、のどの痛み、口渇、あるいは黄色い鼻水など。
② 熱邪が血に侵入したときの症状…
赤いかゆみがある発疹、鼻血、吐血、血尿などの出血症状、あるいは発熱、目が赤い、イライラして落ち着かないなど。