表裏について
筆者;漢方サロンこころ 高橋裕子
漢方では病気を判別するのに様々な手法を取りますが、『病気がどこから来たのか?』『どこにあるのか?(病気の位置)』を表現する方法として、『表裏(ひょうり)』があります。『表証』、『裏証』と同じ体の中でも判別することにより、どの漢方を飲んだら良いかの判別ができます。
【表証】
邪※が皮毛、口鼻、体の表面から侵入し、体表にとどまることにより起こる病気のこと。
例えば、カゼやインフルエンザ、気管支炎、肺炎、急性蕁麻疹、風疹、リウマチの急性発作などの初期にみられます。
※邪…外的な発病因子、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪を指します。季節や気候によって変化します。
表証の症状は発熱と寒気が同時にある、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、頭痛、咽頭痛、身痛、急性発疹などの症状があり、発症が急で、症状が速く変化します。
【裏証】
裏証は体の内部で発生した病気の場合と、表証が裏に侵入してきた場合の二つがあります。
邪が表から裏に侵入した場合は表証の症状が長引いている場合です。一方、病邪が直接裏を障害する場合は精神的ストレスや疲労、飲食の不摂生などが原因となることが多いです。
具体的には、『臓腑』、『気、血、津液』の病変の事で多岐に渡ります。たとえば、慢性頭痛、生理不順、腰痛、便秘などの慢性疾患です。
裏証の特徴は緩慢に発病する、病程が長い、熱感、冷感が単独であらわれやすいなどです。
外感病の病邪は表から裏へ次第に侵入するので、表証、裏証の他に、表証から裏証への進行中や症状が混ざっているような状態を『半表半(はんぴょうはん)裏(り)』といいます。
症状は、寒気と発熱が交互に現れる、胸脇部が張って苦しい、食欲不振、口が苦い、イライラ、不安など、複雑でこじれている場合を指します。
このように表裏を鑑別することで治療法が選択しやすくなり、より体に
合った漢方を服用できます。