病因シリーズ⑥『燥邪』
病因シリーズ最後は、『燥邪』についてご紹介します。
《燥邪の特徴》
① 乾燥する
燥邪の最大の特徴は「乾燥」です。自然界が乾燥する時期や、乾燥した地域で発生します。日本では秋の終わりから冬にかけてよくみられます。
具体的には口、唇、鼻、皮膚の乾き、口渇、大便乾燥などの症状があらわれます。
② 肺を傷つけやすい。
燥邪が体内に侵入すると、肺に影響を及ぼすことが多く、
具体的には、のどの乾燥、のどの痛み、空咳などの症状があらわれます。
《燥邪の病証》
局所あるいは全身の乾燥症状があらわれます。鼻孔や口内の乾燥感、唇のひび割れ、のどの乾燥感と痛み、乾咳、無痰あるいは粘痰(痰がない、又は粘り気がある)、時に鼻出血あるいは痰に血が混ざる、皮膚の乾燥などです。
以上6回にわたってご紹介してきましたが、六淫の邪は単独で体を犯すというより、数種の病邪が混ざり合う場合が多く、さらに、ひとつの病邪による症候は終始変わらないのではなく、人体の反応にともない他の邪の症候に変化してゆくのが一般的です。
また六淫の邪と非常に似た症状が、体内で起こることがあります。これを内生の五邪といいます。気、血、津液、精および臓腑の障害によって生じ、六淫の病証に似たものです。
内生の五邪には内風、内寒、内湿、内燥、内熱の5つがあり、病理上、内生の五邪と六淫の邪とは、結びつき易いです。