『五月病』
(筆者:川那辺 貴弘)
新年度も始まり新しい環境でがんばられている方も多いと思います。新年度が始まり一月経過した五月の『五月病』。今回はこの『五月病』についてお話いたします。
新年度が始まる4月は季節が春ですが、この『春』は『肝』の気を巡らせる『疎泄(そせつ)』という働きが悪くなる時期にあたります。つまり四月はただでさえ環境が変わる時期でストレスを受けやすい時期なのに、さらに気の巡りが悪くストレスを緩和できない時期になります。そのためゴールデンウイークまではなんとか持っていた気持がゴールデンウイーク明けに気持のコントロールが出来なくなってしまいます。
気の流れをスムーズにして気持ちをコントロールすることが五月病から脱出する手段です。
気の巡りを改善する漢方
気のめぐりが悪い場合イライラしたり、怒りっぽくなるという意外に腹部の膨満感、ゲップ、お腹にガスが溜まる、また過食や食欲低下、便秘や下痢などお腹の症状が出やすくなります。これは気の巡りを主る『肝』の働きが調子を崩してしまうためにすぐ近くにある脾(胃腸)にも影響が出てしまうためです。
この場合は気の巡りを良くする漢方がお勧めです。『逍遥散(しょうようさん)』は気の巡りを整え、胃腸にも働く代表的な薬ですが、のぼせがありイライラが強い時は『加味逍遥散(かみしょうようさん)』の方がお勧めです。ストレスで胃の痛みが強かったり、ガスがお腹にたまりやすい方は『開気丸(かいきがん)』や『安中散(あんちゅうさん)』で症状を取り、痛みなどが軽減してきたら『香沙六君子湯(こうしゃりっくんしとう)』や『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』などで気の巡りだけでなく胃の保護もしてあげましょう。
気持のコントロールを改善する漢方
気持が落ち着かない、なかなか寝付けない、動悸がする、不安感、焦躁感があるなどの症状がある場合は気持ちがちょっとのことで動揺しないような漢方を用います。
『柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』が有名ですが、睡眠が上手くとれず動悸などがある方は『帰脾湯(きひとう)』や『酸棗仁湯(さんそうにんとう)』がお勧めです。
他には菊花茶(きくかちゃ)やシベリア人参茶(シベリアニンジンチャ)などもハーブティーとして気軽に飲めるので是非試してみましょう。