今年の冬は天気の良い日が多いせいか、肌や目などの乾燥がひどいという方が増えています。
乾燥は、放っておくとバリア機能が低下するため、菌やウィルスが侵入し、風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。また、肌荒れや咳など様々なトラブルを引き起こす原因となります。特に全身の渇きが気になる方は、外からだけでなく、体の中からの対策を始めてみませんか?
中医学では、身体の乾燥は、潤いの成分である「水(津液ともいう)」や「血」が不足することで起こると考えます。
特に「腎」にある「腎陰」は全身の潤いの源で、「腎精」は血液の生成に関与しています。「腎」は、成長、発育、生殖、老化を主り、加齢とともに衰えるため、「腎陰」は徐々に不足してきます。
“潤い体質”をつくるためには、まず「腎」の働きを整えることが大切です。
潤いや血液は夜寝ている間に作られるので、睡眠をしっかりとるよう心がけましょう。
<腎を養い、潤いをアップする食材>
黒豆、黒ごま、くるみ、クコの実、松の実、山芋、にら、黒きくらげ、えび、牡蠣、海藻類、羊肉、牛肉
<おすすめの漢方薬>
八仙丸、杞菊地黄丸、双料杞菊顆粒、八味地黄丸など
◇ドライスキン
皮膚は「肺」と密接なつながりがあります。「肺」は乾燥に弱く、空気が乾燥してくると機能が低下し、呼吸器系や皮膚の症状が出やすくなります。乾燥が気になる方は、外からだけでなく中から潤いを補うことが重要です。水分もある程度はとることは大切ですが、たくさんとると冷えやむくみの原因となります。潤いを補う食材を食事に取り入れるようにしましょう。
<肺の潤いを補い、皮膚の潤いを保つ食材>
鶏手羽、豚足、ゆり根、白きくらげ、オリーブオイル、はちみつ、沙棘
<おすすめの漢方薬>
婦宝当帰膠、十全大補湯、八仙丸など
◇ドライアイ
目の潤いは、「腎陰」だけでなく「血」が運ぶ栄養によっても保たれるため血を十分に養うことも大切です。目の酷使は血を消耗するため、スマホの使い過ぎには注意しましょう。
また、目は「肝」と密接なつながりがあります。目の様々な症状がある場合は、「肝」の働きを整えることも重要です。
<血を養い、目の働きを整える食材>
菊花、クコの実、ブルーベリー、人参、ホウレン草、ぶどう、アワビ
<おすすめの漢方薬>
杞菊地黄丸、婦宝当帰膠、十全大補湯など
◇ドライマウス
ストレスや暴飲暴食が続くと、脾胃を傷つけ唾液が少なくなってしまいます。胃腸の働きを整え、潤いを養うよう心がけましょう。辛い物や味の濃いものは控えめにしましょう。
<胃腸の潤いを補う食材>
大根、りんご、れんこん、ゆり根、豆腐、きゅうり、冬瓜、もやし
<おすすめの漢方薬>
麦味参顆粒、麦門冬湯など