『肌荒れについて』
(筆者:柳父 憲子)
女性にとって肌トラブルはとても気になるもの、体質に合わせたケアが必要となってきます。自分の体質がどれなのか見てみましょう。
だんだん寒くなり大気も乾燥してきました。それに伴い女性のお肌も徐々に乾燥して肌荒れのトラブルが増えてくる季節になりました。 脂性の肌もトラブルのもとになりますが、特にこの時期は乾燥による肌トラブルが多くなります。
これは中医美容では ”血虚(けっきょ)・陰虚(いんきょ)” という体質の方に大きく関係してきます。 この”血虚”とは“血(けつ)”が不足している。という意味で、この血は “血液を含めた、体の働きを営む栄養物質で、肌の血色、つや、きめの細かさ、潤いに欠かせない栄養要素” をさします。 これが不足してくると血色が悪くなり、シワができやすくなってきます。 女性は月経で、毎月血液を外に出していますので男性よりも不足しやすく、潤いが少なくなりがちです。髪の毛も抜けやすく爪が薄くて割れやすくなってきます。
更にこちらが悪化してくると、体の中にある全ての生理的な水液、肌の潤い、つや、張りを維持する水液を意味する、”津液(しんえき)”が不足してきます。この津液とは細胞内外の液、唾液、胃液、関節液、涙液などの組織液の総称を指し、これが不足してくる事を”陰虚”といいます。こちらの症状になると血虚の症状に加えて、乾燥肌がさらにひどくなり、バリア機能が低下し、慢性化してきます。
また、潤いが不足してくると流れも悪くなり“お血(おけつ)”という血の巡りの悪い症状が出てきやすくなります。 シミやソバカス・くすみ・くまが増え、あざができやすくなり、またニキビなどの痕が残り易く、治りにくくなります。
津液という体に必要な潤いが多いのは良いのですが、体に必要のない液体が停滞して溜まっているのも肌にダメージを与え、これを “痰湿(たんしつ)” といい髪の毛がべたつく、皮膚に湿疹が出やすいオイリー肌になります。比較的若い人に多く、脂っこいものや味付けの濃いものは更に症状を助長しやすくなります。湿度の高くなる夏などに多くなることがあります。
また、この痰湿は 体のエネルギー、抵抗力や免疫力 新陳代謝力、肌の弾力・張りと関係のある、“気(き)” が不足している “気虚(ききょ)” という体質や、“気(き)”が滞ってしまう “気滞(きたい)” という体質から生じやすくなります。
気虚はパワー不足、疲れやすく元気がない状態をいい、肌に弾力がなくなる、たるみ、くすみなどが表れやすくなります。症状が良くなっても、又繰り返し肌が荒れるときには 肌の免疫力を上げるために 気を補う物をよくつかいます。
また イライラや憂うつ感などの情緒不安定、おなかの張り、月経前に吹き出物ができやすい肌の状態が不安定になるのを 気滞 といい、女性の月経前緊張症候群(PMS;Pre-Menstrual Syndrome)とも大いに関係があります。
肌状態を見る項目は “ ウ・ツ・ナ・ハ・タ・ケ ” といいい、これらがあることが肌美人とされます。
ウ・・・潤い | ツ・・・つや | ナ・・・なめらかさ |
ハ・・・張り | タ・・・弾力 | ケ・・・血色 |
肌の荒れ、ニキビなどは同じようでも個人の体質によって異なってきます。個々の体質を知ってケアを心がけてみましょう。