疲れやすい3

 

執筆者:同仁堂薬局 柳父憲子

  体力的・精神的に疲れやすい体質を前回・前々回とお伝えしましたが、今回はそれらに使う中成薬についてみてみましょう。

1. 衛益顆粒

シンプルな3つの生薬で構成されています。中国では玉屏風散といわれ外的刺激からの防衛力をUPし粘膜を強化する黄耆(おうぎ)が多く配合されています。

2.補中丸T

胃腸が弱く内臓が下がり気味、脱肛、虚弱体質で疲れやすい者に使います。上に持ち上げる黄耆・升麻・柴胡が配合されているので月経後の貧血や体力回復にも使います。

3.健脾散エキス

胃腸が弱く、食欲がなく下痢が続く傾向があるもの。        お腹が緩くなりすぎると体力を消耗します。それも慢性的になると栄養を補えなくなるので疲れやすくなります。胃腸を元気にして体力を補う人参と水分代謝を調節する生薬で構成されています。

4.勝湿顆粒

急性の胃腸炎や水様性の下痢で体力を消耗された方に使います。湿気を飛ばす藿香(かっこう)、胃や腸の水分代謝を良くする生薬で構成されます。 又、抗菌作用のある紫蘇葉も入っているので胃腸の風邪にも使います。湿度の高い夏に弱い方も使いやすいです。

5.酸棗仁湯顆粒

血液を補いリラックスさせる酸棗仁(さんそうにん)が主薬の薬です。韓国ドラマの中にも出ており漢方の眠り薬ともされ不眠に使います。眠りが安定してないと心身共に疲れます。元気にするというよりはしっかり寝ることで心身の疲労に使います。

6.麦味散顆粒

エネルギーとなる気を補い疲労回復・新陳代謝機能を高める人参を中心に体に張りと潤いを補う麦門冬、体の消耗を抑える五味子の3つで構成されています。中国では脈をイキイキさせるという意味の“生脈散”という処方です。スポーツ選手にもおすすめです。

7.参茸補血丸・参馬補腎丸

どちらも人参と鹿茸(鹿のつの)が入っています。胃腸を整え、体を元気にする腎精(じんせい)を補います。参茸補血丸は血液を補うものが多く、参馬補腎丸は動物系の生薬が多く入っていますので、体力を補い、体を温める力が強いです。

8.杞菊地黄丸

疲れやすい方で、口の渇きや目の症状など上半身の症状、頻尿や排尿困難など下半身の症状の両方に使います。枸杞子・菊花が入っており視力低下やパソコンのし過ぎで目が疲れる時にもおすすめです。肝腎かなめの重要なところを補いバランスを保ちます。

   

9.牛黄

牛の胆石を(ゴオウ)といい、なかなか取れないので希少価値があります。 心臓の働きや肝臓の機能を高めるので、心臓が弱い方、二日酔い、疲労倦怠にも使います。解熱作用もあるので熱中症や風邪をひいて体力がない時にも使います。元気にもしますが、鎮静もしてくれますので、ストレスが強い時にも使います。 効きが早いので困った時のお守りとして使われる方が多いです。

 

 疲労の度合いは体質やストレスによっても違いま・キ。長期間の疲労は副腎の疲労につながるのでなかなか疲労が回復しにくくなります。疲れが取れない時はできるだけ睡眠の質、休みを取ることも大切です。